本
2010年03月26日
いままでは海野十三とか江戸川乱歩とかばっかり読んでいたが、今日はなんとなく太宰治の『人間失格』などを読んでみた。
ウツな時には読むんじゃないものだろうな、と思いながら・・・。
読み始めてみると、すぐに夢中になり、朝に読み始めてその日のうちに読み終わってしまった。
なんか最近、映画化もされているようですね。
文学を語れるほど、いい読み手ではないので、簡単に感想。
誰もがもっている弱い部分?、脆い部分?・・・うまい表現がみつからないけど・・・を精錬抽出したような主人公。
少年時代と青年時代、成人後の3部の構成で手記の形式で語られていく人生。
この主人公は誰が読んでも、自分に似ている(部分がある)と感じるような、普遍性があるキャラクタだと思う。
だからこそ、共感が多く、名作として長く読まれているのだとは思うが。
みんなこういう弱い部分、恐怖感のようなものを持っているんだよ。自分だけじゃないんだよ。と捉えてみる。
思ったよりは、ウツウツした気分になる話ではなかったな。
スキッと晴れやかになるものでもないが。
冒頭と結末についている「私」の視点からのエピソードが、救いを感じさせているのかもしれない。
2010年03月14日
科学のタマゴ サイエンストイバージョン『じたばたロボ コロボット』である。
学研のキットであり、本屋さんで売っている。
組み立てはすごく簡単で(というか難しいところはすでに組んである)、プラモ的にボディや手足、頭を付ければ完成である。
子供たちには、シールを貼らせてあげたので、テキトーなところに付いている。
このロボット、二足歩行をいちおうするのであるが、タイトルどおりジタバタと動くので、どっちに向かうかもわからないし、よく転ぶ。
しかし、驚くことに自分でまた立ち上がるのである。
仰向けに転んでも、うつ伏せに転んでも、横にころんでも、とにかく立ち上がる。
これがなんと、たった一つのモータが動力源なのである。
youtubeに動画があったので、是非見てみてください。
これらの動きが、たった一つのマブチモーターの回転運動から生まれている。
しかも、そのモータの回転制御などしておらず、モーターはずっと一定速度で回っているだけ。
その回転運動から、さまざまなギア、カム、クランクで実現しているのである。
さらに、センサーと呼ばれる棒の出っ張りなどで、自分が倒れたか起きているかを判別し、ギアが切り替わり、起き上がるようになっている。
腰の部分のモータと、その周りは以下。
意外とあっさりしていると思うでしょうが、ちょっとした出っ張りや角度が、実によく計算されている。
電源は、単三乾電池2本。
1本づつ、右足と左足に入っており、それがバランサーの役割を持っている。よく考えられている。
いや~びっくり。
値段の割には、すごく楽しめる。子供と科学を感じながら遊ぶにはお薦め。
2010年02月28日
2010年02月20日
アニメ版では11話「射手座の日」で放映された話。(原作では何巻だったか?)
新型パソコンを賭けて、涼宮ハルヒとその仲間たちのSOS団が、学校のコンピュータ研と対戦する。
ゲームは、コンピュータ研が自作したソフト、「THE DAY OF SAGITTARIUS III」。
5人対5人の団体でのオンラインゲームとして描かれるが、iPhone版は一人用である。
今、劇場版「涼宮ハルヒの消失」が公開されており、評判も上々。そのプロモーションも兼ねているのだろうが、角川書店から公式アプリとして出たのが驚きである。
それこそ、同人ソフト業界で誰か作っていそうなものであるが・・・。
2010年01月25日
このタイトルをコンビニで見た瞬間、なんだこりゃ。
「キュンキュンわかるE=mc2」
笑うしかないが、ストーリーをみると、さらになんだこりゃ。
内容紹介 新星暦2015年、誤った科学の暴走によって世界で大戦が起こり、全人類の9割が死滅。 その後、一切の科学研究が禁止する「ノーサイエンス」という国家が出現。 相対性理論は核兵器を作り出した悪魔の科学として封印されてしまった…。 ノーサイエンスの学院に通う普通の少年・鈴木タロウはある日偶然に出会ったツンデレ少女・ひかりに一目惚れし、その後を追い、秘密裏に科学を論じる反体制組織「アインシュタインクラブ」の少女たちに捕獲され監禁されてしまう。 |
この作者、相対性理論を説明するのに、人類の9割を消しちゃったよ。
相対性理論の説明はわかりやすい。説明範囲は、光速が一定であるなら時間や空間が相対的であるという説明から、ウラシマ効果の原理までなので、入門書としてはちょっと物足りないかなぁ。
が、読み始めると一気に読んじゃうイキオイがある。
わざとらしすぎるツンデレや、無意味なパンチラにめげることもなく、常時高いテンションを維持。
あさりよしとおの『まんがサイエンス』(学研)と通じるものがある。
この無茶な舞台設定とストーリーは、アインシュタインの以下の言葉を軸に沿えられているからだ。
「第二次世界大戦では原子爆弾が兵器として利用されましたが、第三次世界大戦が起こったら、どのような兵器が使われると思いますか?」 |
光の疑問を追求していったら、原子爆弾の基礎理論になってしまい、人生の後半を悩み続けたアインシュタイン。
作者は、ギャグの形をとりながらも、科学を人類の平和のために願い続けたその思いを描くための舞台であったようだ。
2010年01月05日
2009年11月09日
小学館:「小学五年生」と「小学六年生」今年度で休刊
少子化に加えて、本離れと、子供向け出版業界には厳しいでしょうが。
まぁ、ぼくも学年雑誌は、あまり買ってませんでしたけど(コロコロコミック派でした)、ちょっと寂しい感じがします。
2009年11月06日
人類がいかにして宇宙を知っていったかを記した、宇宙論の科学史である。
古代エジプトで考えられていた宇宙像、17世紀ごろの宇宙像など、当時の技術でわかったことと、そこから導かれる宇宙モデルを説明し、それらのモデルが、新しい観測などでどうやって崩されていくか、そして新たなモデルが作られていくか、ドラマティックに語られていく。
人類の知の歩みを、歴史的に俯瞰しながら、しかし、その転換点にいた科学者たちひとりひとりの人間模様が描かれる。
「持続は力なり」というが、ひとつのことに執念をもやし、信念を持って何年もひとつの問題を考え続ける研究者達。
こうしたたくさんの歴史的な研究者達のおかげで、いまの技術があり、その裏では名前が残らない研究者達の挫折と努力があることに心うたれる。
科学の発展は、理論によるモデルと予測、観測(実験)による証明、その両輪でまわっていく。
理論は、観測により裏切られ、モデルの再構築を促される。
観測や実験は、自然界の工学的な障壁や思想的政治的な障壁、そして人間によるミスといった困難を潜り抜け、客観的な結果を出さなければならない。
モデルを組み上げるには、先入観や宗教観を乗り越える、インスピレーションが必要だ。
こうした何世紀にも渡る絶え間ない試行錯誤により、宇宙への理解は、20世紀末にひとつの成果をあげた。
そこに至るまでの過程は、科学的であるとはどういうことか、を如実に体現している。
この本は、最新宇宙論(インフレーション理論など)を解説するものではない。
現在のビックバン宇宙論ができあがってきた歴史を追っていくことで、科学とはなにかを問いかけているように思う。
科学者ではないが技術者である自分としては、偉大な先人の物事への取り組みの姿勢や気概など、学ぶべきことがいっぱいつまった一冊でした。
これを読み終わって、google SKYで宇宙を旅すると、また一味違う宇宙が見えます。
2008年09月12日
社会人になって10数年。
すっかりテーブルトークRPGからは遠ざかっていたが、先日、富士見書房のコーナーで『ソードワールド2.0』を見つけた。
IT業界の人間からすれば、限りなくうんさくさいタイトルであるが、ちゃんとグループSNEが作っている正当なメジャーバージョンアップのようだ。
元祖ソードワールドが発売されてからはや20年。IT業界からは考えられないほどのんきなバージョンアップである。(そこと比較するほうがおかしい)
それにしても、なぜ今ソードワールド?
一時期(10年ほど前か)のトレーディングカードブームに押されて、テーブルトークRPGは廃れていったと思っていたが、ここにきて再興隆をねらっているのだろうか。
日本製テーブルトークがなかった時代に、和製の本格ルールとしてソードワールドが作られ、たしかにシンプルなわりに柔軟で、理にかなっている感じがとてもバランスがよかった。
実際、本家D&Dと同じか、それ以上遊んだのはソードワールドだけだ。
中身は、ベースとなるキャラクタメーキングや成長についてのシステムの骨格はあまりかわっていない。
6面ダイスのみで進められるシンプルさも同じだ。
世界や神の生い立ちと構成、種族、魔法、スキルといった、データ部分が全く変わっている。
銃を扱うロボット的種族や、うさぎさん種族など、なかなかおもしろい。
iPhoneでは、サイコロをふるアプリケーションも、いろいろ作られており、4面ダイスから20面まで、そして10面2個のパーセンテージまでリアルに転がしてくれるアプリがでている。
こうしたソフトもつかいつつ、またいつかテーブルトークRPGをやってみたいものだ。
2008年05月27日
沖縄の離島で質素に素朴に暮らしている35歳の主人公の元に、ある日手紙が届く。
「わたしをお嫁にしてください」
主人公が以前旅行で行った神社の絵馬に冗談半分で「嫁にこないか」と書いたことに対する返事らしい。
そしてやってきた女性は、とてつもなく美人で、明るい性格。でも、時折見せる寂しげな様子に何か秘められたものがある・・・。
本書は、ラブストーリー大賞の受賞作だそうだ。
ラブストーリーに限定、という賞自体めずらしく、聞いたこともなかったが、まともなものだそうだ。
純朴な主人公、島の友人たち、ちょっと謎な明るく活発な美人とを中心に、素朴な島の生活を飽きさせることなく丁寧に描き、とても好感のもてる小説だ。
各キャラクタには、それぞれ不幸もあるのだけど、それは過ぎ去ったこととして描かれ、それを乗り越えていたり、乗り越えようとしていたりしている。
力をはって、前向きに! という感じを前面に出すのではなく、現状維持でもいいや、でも、後ろ向きに悲観したりはしない、そんな、ちょうどいい力加減が、心地よいのではないかな、と思う。
ちょっと仕事に、生活に、疲れを感じちゃった人。
沖縄の広い空と青い海と白い道を想像しながら、幸福感と共に息抜きとして、いかがですか。