2009年11月20日

がんばれ! 小惑星探査機「はやぶさ」!

小惑星探査機「はやぶさ」が、またひとつ奇跡をおこした。

その感動さめやまないうちに、「はやぶさ」の軌跡を、事故とそのフォローにフォーカスしてまとめておく。
勘違い、理解不足も多々あると思うので、正しくは、wikipediaの「はやぶさ」の項や、JAXAのプロジェクトページはやぶさプロジェクトサイトを参照のこと。

「はやぶさ」の任務


「はやぶさ」は、小惑星「イトカワ」に近接し、科学観測を行った後、その破片をサンプルとして地球に持ち帰ることを目的としている。
その他、工学的な目的として、以下の4つの技術が実現できるかの実証を行う。
  • イオンロケットエンジンによる推進実験
  • イオンエンジンと併用して地球をスイングバイすることでの加速の実証
  • 微小な重力しか発生しない小惑星への自律的な接近飛行制御
  • 大気圏再突入・回収
「イトカワ」は、地球近傍惑星と呼ばれる、太陽の周りをほぼ地球と同じ軌道で周回している。 2003年5月9日に打ち上げられ、2005年に「イトカワ」に近接したあと、2007年夏に地球に帰還する予定であった。
上記4つの目的のうち、最後の大気圏再突入以外は、すでに成功して終わっている。しかし、その裏には以下のようなJAXA運用者の不屈の精神と頑強な技術力があった。

リアクションホイール異常

リアクションホイールと言う姿勢制御装置が、3つ搭載されている。X軸、Y軸、Z軸ごとに1つずつ。
2005年7月31日、そのうちの1つのリアクションホイールが故障。続けて同年10月2日、2つ目のリアクションホイールも故障してしまう。
1つの故障は想定の範囲内だったが、2つ壊れて残りのZ軸だけのリアクションホイールでは姿勢制御ができないため、化学ジェットエンジンでの姿勢制御も取り入れることになった。
しかし、想定外の燃料噴射が発生するため、推進剤がなくならないように注意しなければならない。より精密に制御する方法を考案し、この危機を回避した。

燃料漏洩、そして消失


2005年11月26日、「はやぶさ」は「いとかわ」に着陸し、試料の採取を行なった。その後、「いとかわ」から離脱には成功したが、化学エンジンの燃料が漏洩してしまう。その影響が各所におよび、11月28日には通信も確立できなくなる。
29日には、ビーコンレベルで通信が復旧し、12月1日には低利得アンテナによって8bps(秒速8ビット)という超低速ながら機体の状況がわかるようになった。 漏洩の影響で、バッテリーの低下、システムのダウンがおきていたのだ。
その後、首の皮一枚つながっている通信路を使い、気の遠くなるような状況把握と姿勢制御を繰り返しいく。イオンエンジンの燃料であるキセノンを噴射することで、通信路を確保するための姿勢制御を行っていくが、12月8日、燃料ガスの噴射と思われる力により姿勢が大きく崩れてしまう。
それにより、完全な通信断となり、「はやぶさ」の位置の特定すらできなくなってしまった。

まだあきらめない


当初、2007年夏には地球に帰還する予定であったが、この事故による制御不能のため、予定していた帰還軌道に乗せることができなくなった。
ふたたび通信可能となるには、電力の復旧や姿勢がよい条件にそろわないといけない。JAXAは、そうした条件がそろうのは1年以内に60~70%とはじき、2005年12月14日、JAXAは2010年6月に帰還できる軌道には乗せられると判断し、プロジェクトの延期を決める。

再発見


年が変わって2006年1月、奇跡がおきる。
「やはぶさ」からの電波が受信できたのだ。ごく短い時間だけ通信ができるようになった。
針の穴をとおすような通信を使って、2月6日、姿勢制御をキセノンガスの噴出で行えるようにプログラムを更新し、ごくわずかずつ姿勢を通信路確保の方向へ変えられるようにしていった。 2月25日には、ふたたび8bpsでの通信が復旧し、3月4日には32bpsまで好転する。
そして3月6日、「はやぶさ」の軌道が明らかになり、本格的に帰還軌道への再投入にむけた復旧作業を計画していくこととなる。

帰還軌道へ


バッテリーの復旧のために機体温度を上昇させたり、イオンエンジンの再始動など行い、数ヶ月かけて少しずつ直していく。 化学燃料は、2005年12月の事故で失われてしまったため、キセノンを使ったイオンエンジンのみが推進力となる。また、姿勢制御も3つのリアクションホールのうち2つが失われているので、キセノンガスの噴射に頼わざるをえない。キセノンガスの残量は、まだ余裕があるとはいえ、慎重な制御が必要となる。
2007年10月には、地球帰還軌道への第一次変更をおわらせ、2009年2月から2010年3月までのイオンエンジンでの加速により、第二次軌道変更を行うこととなった。

まさかのエンジントラブル


「はやぶさ」には、A系からD系までの、4つのイオンエンジンスラスタが搭載されている。そのうちのA系B系は、すでに故障中であり、C系D系を使って帰還する予定であった。
しかし、2009年11月4日、D系も電圧異常で自動停止してしまった。
C系は稼動できるが、今は停止中である。

そして今日


11月19日、JAXAは帰還にむけて不屈の精神で復旧を行った。
A系とB系のエンジンのうち、故障していた部分を相互に補完しあうことで1台分のエンジンとして復活させたのだ。 詳しくは、小惑星探査機「はやぶさ」の帰還運用の再開についての図をみてほしい。

「はやぶさ」プロジェクトの運用スタッフの根気と粘り強さには、感服すると共に、見習うべき技術者魂がたくさんつまっている。
さまざまな事態がおきていても、その対処ができる柔軟なシステムを作った事もその一つだ。
 
とにかく今は、2010年6月に「はやぶさ」が無事、地球に降りたってくれるくれることを祈らずにはいられない。

がんばれ! はやぶさ!



sylphide_ffr31mr at 08:31コメント(0)トラックバック(0)その他  

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