2009年11月06日

『宇宙創成』サイモン・シン

ぼくの大好きなサイエンス作家、サイモン・シンの新作。

 

人類がいかにして宇宙を知っていったかを記した、宇宙論の科学史である。
古代エジプトで考えられていた宇宙像、17世紀ごろの宇宙像など、当時の技術でわかったことと、そこから導かれる宇宙モデルを説明し、それらのモデルが、新しい観測などでどうやって崩されていくか、そして新たなモデルが作られていくか、ドラマティックに語られていく。
人類の知の歩みを、歴史的に俯瞰しながら、しかし、その転換点にいた科学者たちひとりひとりの人間模様が描かれる。

「持続は力なり」というが、ひとつのことに執念をもやし、信念を持って何年もひとつの問題を考え続ける研究者達。
こうしたたくさんの歴史的な研究者達のおかげで、いまの技術があり、その裏では名前が残らない研究者達の挫折と努力があることに心うたれる。

科学の発展は、理論によるモデルと予測、観測(実験)による証明、その両輪でまわっていく。
理論は、観測により裏切られ、モデルの再構築を促される。
観測や実験は、自然界の工学的な障壁や思想的政治的な障壁、そして人間によるミスといった困難を潜り抜け、客観的な結果を出さなければならない。
モデルを組み上げるには、先入観や宗教観を乗り越える、インスピレーションが必要だ。
こうした何世紀にも渡る絶え間ない試行錯誤により、宇宙への理解は、20世紀末にひとつの成果をあげた。
そこに至るまでの過程は、科学的であるとはどういうことか、を如実に体現している。
 
この本は、最新宇宙論(インフレーション理論など)を解説するものではない。
現在のビックバン宇宙論ができあがってきた歴史を追っていくことで、科学とはなにかを問いかけているように思う。

科学者ではないが技術者である自分としては、偉大な先人の物事への取り組みの姿勢や気概など、学ぶべきことがいっぱいつまった一冊でした。

 これを読み終わって、google SKYで宇宙を旅すると、また一味違う宇宙が見えます。




sylphide_ffr31mr at 20:51コメント(0)トラックバック(0)  

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